透析技術認定士とは

透析施設では患者の増加、医療機器の操作にあたり、
医療技術養成所などを卒業した技術者を雇用することが多くなった。

透析療法合同専門委員会は医療現場で無資格者が治療行為を行う懸念から
新たな医療資格、臨床工学技士の法制化の要望を厚生省に提出し、
新たな国家資格ができるまでの暫定処置として透析技術認定士
1980年に発足させた。

臨床工学技士はその8年後、1988年に厚生省により資格法制化される。

透析装置だけでも全国に10万台あり、医療機器の保守管理を
メーカーだけ、臨床工学技士だけで行うことは困難です。
また2006年に厚生労働省から
「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準について」との
通知が出されました。医療機器事業者が医療機関に出向き、
操作や操作方法の指導を行う「立会い」を制限し、
患者の同意をとるべきだという内容です。
医療機器の操作は治療行為そのものなのです。

医療機器事業者が医療機関の業務を担うことは
有償、無償を問わず派遣業法、無償であれば独占禁止法、
無資格であるのなら医師法に抵触します。

個人情報保護法の制定以降、個人情報の取り扱いに対する世間の目は厳しくなっています。
美容整形、体性幹細胞等の免疫療法など先進医療の分野で臨床工学技士ではなく、
無資格の医療機器事業者が医療機器の取り扱いを
医療従事者の求めに応じ、行っている現状があります。
手術や治療を受ける際、医療機器の取り扱いであるからと
民間業者が出入りする所で治療を受けたいとは誰も思わないはずです。

臨床工学技士とは

臨床工学技士の資格法制化とは何でしょうか。
ここでは関連した法をまとめたいと思います。

医師法第17条は「医師でなければ医業をなしてはならない。」と
医師の医業の独占を規定しています。

臨床工学技士法第37条では「臨床工学技士は保健婦助産婦看護婦法31条、
32条の規定に関わらず生命維持管理装置の操作を行うことができる。」とあります。

保健婦助産婦看護婦法(保助看法)第31条、32条の規定とは、
「看護婦、准看護婦でなければ第5条に規定する業をしてはいけない。」ということです。

第5条とは「看護婦は療養上の世話、または診療の補助をすることを業とする者」
であるということなので看護師は診療の補助を独占している資格なのです。

つまり臨床工学技士法第37条では、看護師が診療の補助を独占してるけど
臨床工学技士も診療補助行為を認めるよということなのです。

臨床工学技士法第2条には「臨床工学技士とは医師の指示の下に
生命維持管理装置の操作および保守点検を行うことを業とする者をいう。」とあります。
しかし、「機械の保守点検」は医療行為ではありません。誰がやってもいいことです。 
医療法では「保守点検」は医療機関が自ら適切に実施するべきものであり、
「保守点検」を適正に行うことができると認められる者に委託して
行うことも差し支えないとされています。

臨床工学技士の業とする診療補助行為は「操作」であることがわかります。
医療機器の操作とは事実上、治療行為そのものです。

「操作」の詳細は内閣による閣議で定められた臨床工学技士法施行令、
省庁の決めている臨床工学技士法施行規則に定められています。
厚生労働省の発行した臨床工学技士業務指針には臨床工学技士の業務について、
具体的に規定されています。

人工呼吸器のアラームが鳴り、臨床工学技士が駆け付けると
患者の気管に痰がからんでいた。
痰の吸引は看護師の仕事、機械のトラブルは臨床工学技士の仕事であるから
看護師を呼んだ。というようなことでは非効率的です。

このように実際の現場の業務と臨床工学技士業務指針がかけ離れていてはなりません。
制度が成熟した現状において、職能団体や関係学会の自主的な取り組みにより
医療技術の高度化等に対応しながら適切な業務指針が確保されるべきとの観点が
厚生労働省から示され、臨床工学合同委員会の策定した
臨床工学技士基本業務指針が採用されています。
これは臨床工学技士の業務の拡大につながるものと考えられます。

臨床工学技士法について

医療機器の「操作」に関しては臨床工学技士法2条に「医師の指示の下に」、
臨床工学技士法38条にも「医師の具体的な指示を受けなければ
厚生省令で定める生命維持管理装置の操作を行ってはならない」と
二重の規定がなされています。その他、

臨床工学技士法第41条は名称独占、
「臨床工学技士でないものは臨床工学技士または紛らわしい名称を使用してはならない。」

臨床工学技士法第40条は守秘義務、
「臨床工学技士は業務上知りえた人の秘密を漏らしてはならない。」
これは強行規定です。違反すれば罰則です。

また臨床工学技士法第39条には
「臨床工学技士はその業務を行うに当たっては医師、その他の
医療関係者との緊密な連帯を図り適正な医療の確保に努めなければならない」
これは訓示規定です。チーム医療は罰則がなくとも努めなければなりません。

臨床工学技士法第1条には
「臨床工学技士法は医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。」とあります。

臨床工学技士は最高の注意義務を負い、医療業務上の危険を予知、防止し、
医療機器の操作を通じ、医療の普及及び向上に寄与しなければなりません。

臨床工学技士、透析技術認定士の発足の経緯についてまとめましたが
この第二章はテストにはあまり出ません。