病院で使われる計算式・濃度
透析だけに限らず、病院ではいろいろな濃度の単位を目にし、
透析だけに限らず、病院ではいろいろな濃度の単位を目にし、
ときには単位変換や処方透析なども行わなければなりません。
医療を目指す人の中には計算が必要なことに不安を覚える人も多いです。
医療を目指す人の中には計算が必要なことに不安を覚える人も多いです。
病院で使う単位の変換、計算などはこのぐらい知っていれば十分ではないか
というようにまとめてみました。
まず、いちばん感覚的にわかりやすいのが
mg/dl 溶質を重量、溶液を体積としてあらわした重量単位です。
1dl 中に1mg 解けていれば 1mg/dl 。
溶質を mg ではなく g で表すと g/dl となり、W/V% と表すことがあります。
wはウェイト、重さ。vはボリューム、体積です。
wはウェイト、重さ。vはボリューム、体積です。
生理食塩水のバックには塩化ナトリウム(Nacl) 0.9W/V% と表示されています。
1dl 中に 0.9g の塩化ナトリウムが溶けているわけです。
W/V%= g/dl は % と同意です。 生食は 0.9% 塩化ナトリウム水溶液です。
%はpert par cent という意味で100分の1を表します。
ppm という単位は part per million という意味で1000000分の1を表します。
ppm は%を使うには微量な濃度を表すときに使います。
0.0001% が 1ppm 、10000ppm が 1% 。一万ppmが 1% とおぼえます。
0.0001% が 1ppm 、10000ppm が 1% 。一万ppmが 1% とおぼえます。
小麦粉1g と食塩1g では同じ重さでも粒子の数は違います。
粒子の数がアボガドロ数個(6.022×10の23乗個)だけあれば
1mol と考えようというのがモル濃度です。
1mol と考えようというのがモル濃度です。
12個が1ダースというのと同じです。
アボガドロ数個の粒子が1リットル中にあれば1 mol/l です。
アボガドロ数個の粒子が1リットル中にあれば1 mol/l です。
1mol が何g に相当するのかは粒子の数を数えなくても原子量を調べればわかります。
原子量 23 のNaは は23g が 1mol 、23mg であれば1mmol 、
原子量 35.5 のClは は35.5g が 1mol、33.5mgは1mmol、
原子量 58.5 のNaCl は は 58.5g が 1mol
原子量 39 のK は は 39g が 1mol
原子量 40 のCa は は 40g が 1mol
原子量分グラムが1mol なのです。
原子量をしらなければ重量濃度とモル濃度の変換はできません。
原子量をしらなければ重量濃度とモル濃度の変換はできません。
■ では 900mg/dl のNacl水溶液のモル濃度はいくつでしょうか。
900mg ÷ 58.5 で15.38mmol/dl = 153.8mmol/l です。
1モルが原子量分であるから、
重さを原子量で割ることでモル濃度が求められるのです。
重さを原子量で割ることでモル濃度が求められるのです。
半透膜を介して濃度の異なる溶液があったとき、
濃度の低い溶液から濃度の高い溶液に水は移動します。
濃度の低い溶液から濃度の高い溶液に水は移動します。
濃い溶液は薄められ、薄い溶液との間に水位差が生じます。
ここで、濃度が高い溶液に水が移動してこないようにかけた圧力を浸透圧といいます。
つまり浸透圧は溶液の濃度によって決まり、溶液中の粒子の数で決定します。
非電解質では1mol/l の溶液は1mosm/l の浸透圧をもちますが
電解質は溶液中ではイオン化し、粒子の数が増えるので
同じ1mol の物質でも浸透圧は異なります。
同じ1mol の物質でも浸透圧は異なります。
Nacl は水に溶かすとNa とCl に別れる(イオン化する)ので
Naが153.8mmol/l 、Cl が153.8mmol/l となります。
Naが153.8mmol/l 、Cl が153.8mmol/l となります。
Naが153.8mmol/l 、Cl が153.8mmol/l ということは
この水溶液は153.8 + 153.8 = 307.6mosm/Lの浸透圧をもつと表せます。
この水溶液は153.8 + 153.8 = 307.6mosm/Lの浸透圧をもつと表せます。
水溶液中でイオン化した溶質のモル濃度の和が浸透圧です。
浸透圧の単位はオスモパーリットルと読みます。
また mosm/H2O・kg と書くこともあります。
また mosm/H2O・kg と書くこともあります。
■ では5%ブドウ糖の重量濃度、モル濃度、浸透圧はいくつでしょうか。
5%なので1dl に 5000mg 、5000mg/dl 、ブドウ糖の原子量は 180 なので 180g が 1mol 、
重さを原子量で割るとモル濃度が求められるので 5000÷180 = 27.7mmol/dl = 277mmol/L 、
ブドウ糖 C6H12O6 は非電解質なので水溶液中でイオン化しない。モル濃度がそのまま浸透圧となる。よって 277mosm/L。
粒子の数がアボガドロ数個集まったものを1mol と呼びますが、
1mol が水溶液中でイオン化したときの「化学反応力」は電子量によって決まります。
1mol あたりの化学反応力を表した単位が mEq/L です。
Naは電子量 1価のイオンなので1mol は1mEq 。
Clは電子量 1価のイオンなので1mol は1mEq 。
Caは電子量 2価のイオンなので1mol は2mEq 。
モルに価数をかければメックに単位変換できます。
ここからクイズになります。
■ Naは透析で除去されるか。
■ 10% Nacl 1A (20ml) は何mEq/l か。
■ 血漿Na濃度140mEq/L、血液量5Lの患者に10% Nacl 1Aを静注するとNa濃度はいくつになるか。
■ バケツに入ったNa濃度140mEq/L、5Lの水の中に10% Nacl 1A (20ml)を入れるとNa濃度はいくつになるか。
■ 140mEq/Lの透析液を150mEq/Lにしたいとき個人用透析装置 A原液(9L)タンクにNaclを入れればよいか。
■ 透析液A原液タンク9Lには「カリウム2mEq/L 塩化カリウム47g」と記入されている。
これをを3mEq/Lにしたい。何g のカリウムを入れればいいか。
■ 透析液10Lの中に塩化カルシウムをいれカルシウム濃度を1mEq/L上げたい。何グラム入れればよいか。
□ 透析(拡散)で除去されるためには血液-透析液間での濃度差があることが必要です。
血液のNa濃度はだいたい140mEq/l 、透析液の濃度も140mEq/l 。よって透析ではNaは除去されません。
食事でとった塩分は拡散ではなく、除水によって除去されます。
□ 濃度は10%=g/dl、まずmol にするとNacl は23+35.5=58.5の原子量だから
10000mg/dL÷58.5=170.9mmol/dl=1709mmol/L
Naは一価のイオンなので×1、1709mEq/L です。
□ 細胞内液から浸透してきた水分により血液は希釈されNa濃度は140mEq/L一定に保たれます。
□ 10% Nacl 1A に含まれる2000mgのNaclは2000÷58.5=34.2mmol、1価だから34.2mEq、
バケツのNa総量は140mEq×5L=700mEq
足すと734.2mEq、バケツの総量が50.2dlだから
734.2mEq/50.2dl = 14.6mEq/dl = 146mEq/L
□ A原液9Lは35倍希釈されるため9×35=315Lとなります。
これを10mEq濃度を上昇させるので315×10=3150mEqのNaが必要です。
Naは1価だから3150mEq=3150mmol、
モルは原子量でかけると重さになるので184275mg、184gのNaclが必要です。
Clも10mEq/L上昇します。
□ 説明書にカリウム2mEq/L 塩化カリウム47gと記入されていれば
カリウム1mEqあたり23.5gとわかる。
よって3mEq/Lにするには23.5g入れればよい。クロールも1mEq、上昇する。
□ 塩化カルシウム Cacl2は2価のカルシウムと1価のクロールが2つ結合した形であるので
原子量はCa40 + Cl 35.5 + Cl 35.5=111となる。1mEq/L上昇させる。
10Lなので10mEq、モルになおすとカルシウムは2価だから
5mmol、モルに原子量をかけると5mmol×111=555mg。
555mgの塩化カルシウムが必要。クロールも1mEq、上昇する。
検査結果の変換などわかりにくいのですが、単位はモルを中心にして考えるとわかりやすいです。