医療安全関連通知

平成19年の医療法の改正では「医療安全関連通知」が出され、
医療機器を安全に使用するための要件が医療機関に義務づけされました。
医療機器の高度化、複雑化、進歩に伴い、医療機器によって引き起こされる
事故は増えています。以下の4点が新たに義務付けられた内容です。

(1) 医療機器の安全使用を確保するための責任者(医療機器安全管理責任者)の設置

(2) 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施

(3) 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施

(4) 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集
    その他医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施

臨床工学技士会の「医療機器安全管理指針」では上記の4点について
医療施設が法的に求められている項目について
具体的にまとめられています。

(1) 医療機器の安全使用を確保するための責任者(医療機器安全管理責任者)の設置

医療機器安全管理責任者は、適切な使用方法、保守点検の方法等、
医療機器に関する十分な経験及び知識を有する医療従事者から選任されます。
臨床工学技士、医師、看護師等の医療従事者が担うもので
医療資格を持たない事務員が行うことはできません。
医療機器安全管理責任者は医療機器の安全管理に関する責任を負います。
医療機器を原因とした事故では医療機器安全管理責任者が
逮捕されている例があります。

(2) 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施

医療機器安全管理責任者は医療機器の導入時の研修を使用者に対して行います。
医療機器を導入した時、ユーザーに対し、医療機器のはたらき、使用方法、
保守点検、不都合時の対応などのトレーニングを行います。
導入時だけではなく、その機器のクセ、誘発しやすいエラーなどは
使用しているうちにわかってくるものです。
研修は必要に応じその都度行うことが求められます。
特定機能病院(一般の病院から紹介された高度先端医療行為を
必要とされる患者さんに対応する500 床以上の病院)では、導入時研修だけではなく、
特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器に関して
研修を定期的に行い、その実施内容について記録しておかなければなりません。
副作用又は機能の障害が生じた場合、人の生命及び健康に重大な
影響を与える恐れがある医療機器を高度管理医療機器といい、
優先して研修を行うことが求められています。
 

(3) 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施

どこになにがあるかわからない。
壊れても直るのか直らないのか誰もわからず、放置されている。
引出しに何に使うかわからない医療機器が置いてある。
管理不在の状況ではこのようなことが起こります。
医療機器の安全管理を行うに当たって、
まず医療機器管理台帳(インベントリ)を作成し、
すべての医療機器が医療機器管理台帳にて把握されていることが必要となります。

医療機器管理台帳には管理番号 、設置場所 、機器区分 、
機種名 、製造番号、製造年月のほか、保守点検計画の策定を行います。

点検には清掃、外観・基本性能の確認を行う日常点検(始業時、使用中、終業時)
性能・機能確認、校正、消耗物品の交換を行う定期点検のふたつがあり、
特に定期点検ではいつだれが何に対して行ったのか、
今後の計画をたて、実行し、記録を残すことが必要です。

(4) 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集
    その他医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施


医療機器に不都合が見つかった。ある特定のエラーを誘因しやすい医療機器がある。
こんな医療事故が頻発している。このような情報は製造販売業者や
医薬品医療機器総合機構の「医薬品・医療機器等安全性情報」によって公表されます。

医薬品・医療機器等安全性情報報告制度は、
医薬品、医療機器又は再生医療等製品の使用によって発生した
健康被害等(副作用、感染症及び不具合)
の情報を厚生労働省に報告する制度です。
報告者は「医療機器を取り扱う」者が含まれ、医薬関係者の義務とされています。

報告された情報は、分析、評価され、医療関係者に広報され、
添付文書の改訂指示など、医薬品、医療機器の
安全対策の確保を図ることを目的としています。
報告窓口はPMDA、医薬品医療機器総合機構となっています。

情報を収集すること、それをスタッフに周知すること、
対応策を検討・実施することが医療機器安全管理責任者には求められます。

臨床工学技士法第1条には
「臨床工学技士法は医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。」とあります。
臨床工学技士は最高の注意義務を負い、医療業務上の危険を予知、防止し、
医療機器の操作を通じ、医療の普及及び向上に寄与しなければなりません。